こんにちは柔整師の相川です!!
最近、朝晩が冷えてきましたね。
寒いのが苦手なのでまだ暖かいままでいてほしいなと思ってます(笑)
さてさて、皆さんは足がつって目が覚めたりした経験はないですか??
今回は、その原因と対策についてお話したいと思います。
自分の意志とは関係なく足にだけおこり、通常は痛みを伴うのが特徴です。こうした「足のつり」は足や手などの筋肉が伸縮バランスを崩して異常な収縮を起こした結果、元に戻らなくなったためと考えられています。
こむら返りは足のふくらはぎの筋肉が一番有名であり、80%は足のふくらはぎがつるとされています。あとは「足の裏がつる」という方が多いのではないでしょうか。しかし実際太ももからつま先まで、脚のどこにでも起こる可能性があります。夜に発生することが多く、通常は数秒から数分しか続きません。
実はこむら返りは、非常にありふれた疾患です。年齢が上がるごとに発生頻度が高くなり、50歳までに誰もが一度は経験し、50歳以上の最大33%もの方がこむら返りで困っているという報告もあります。また、そのうち20%の方でこむら返りが日中の休息時間にも発生するという報告もあり、「たかがこむら返り」と侮れません。睡眠中や普段も日常生活でも、大きく生活の質を落とす可能性がある疾患、それが「こむら返り」です。
こむら返りの原因については、わかっていない部分も多いですが、下記のような基礎疾患の関連が指摘されています。(より可能性が高いものと考えられる順にあげています)
- 活動のすくない高齢者の筋肉の長さが短くなっているため
- 妊娠
- 脱水
- 糖尿病:特に2型糖尿病の方で発症しやすいとされています。末梢神経の過興奮を伴う神経障害や腎臓障害・末梢の血流不全が原因とされています。
- 電解質異常:マグネシウムやカルシウムの欠乏など
- 慢性腎不全(透析されている方など)
- 末梢の血管疾患(静脈・動脈):静脈瘤や動脈硬化など
- 末梢の神経障害: 腰椎椎間板ヘルニア・神経狭窄症など
- 甲状腺機能異常
- 慢性肝不全:肝硬変の方の88%が筋けいれんを経験し、通常よりも多く経験されます。
- うつ病
- 夜間無呼吸症候群
- 心不全
- 線維筋痛症
- 筋萎縮性側索硬化症(ALS): ALSの方の95%は筋肉のけいれんがあると報告されています。
- 薬物性:コレステロールを下げる薬(スタチン系薬剤)や利尿薬・脈拍をゆっくりさせる薬(β遮断薬)などの特定の種類の薬も原因になることも。
そこに加えて、急に体を動かしたり、栄養不足や水分不足・筋疲労・寒暖差・冷えなどが加わり起こりやすくなります。
こむら返り(足のつり)が高齢者や妊娠中に起こりやすいのはなぜ?
こむら返りの発症に機序はわかっていないことも少なくありませんが、基本的に
- ホルモンのバランスが崩れた時
- 体液のバランスが崩れた時
- 神経根や動脈血管が圧迫された時
- 筋肉を支配する運動神経の興奮が増してしまう時
に発症するされています。
例えば妊娠中は女性ホルモンを中心にバランスが崩れやすく、胎児を守るために全体的に体液量は増えます。そこから母体の静脈還流不全や胎児の成長による場体のホルモンや栄養バランスの崩れからこむら返りが生じるのではないかといわれてています。実際、妊娠中の女性の約30~40%が夜の足のつりを経験するとされています。
高齢者はもともと筋肉量が少なく、循環不全も起こりやすい環境が整っています。実際、60歳以上の方の33%は少なくとも2か月に1回、足のつりを経験しているという報告もあります。
しかし、健康な若い方でもこむら返りを起こす可能性は十分あります。例えば筋肉を使いすぎて筋疲労を起こすと、筋肉内の体液のバランスが乱れやすく運動神経も興奮しやすくなることから、こむら返りが発症しやすくなりますね。また、普段使わない筋肉をつかった時や、寒い時期になるとこむら返りを発症される方もいます。
それぞれの原因にあわせた対策・治療が必要です。
対策、治療
- 筋肉を和らげる薬(筋弛緩薬):筋弛緩薬は、骨格筋の緊張をやわらげ血管を拡張して筋肉の血流を増やすことで、肩こりや頭痛・手足のつっぱりやこわばりなどの症状を改善する薬です。副反応としては眠気や脱力感があげられます。代表的な薬としてはミオナールⓇやテルネリンⓇなど。
- マグネシウム: マグネシウムは、300種類以上の酵素を活性化する働きがあり、筋肉の収縮や神経情報の伝達、体温・血圧の調整にも役立つミネラルです。こむら返りに対するマグネシウムの評価特に妊婦の方に対して検討されていますが、有効性が高いと実証されてはいません
- キニーネ:アンデス山脈に自生する植物「キナノキ」に含まれるアルカノイドの1種です。抗マラリア薬としても知られています。
- ストレッチ体操・マッサージ
- ビタミンE:ビタミンEは強い抗酸化作用を持つ脂溶性のビタミンです。体内の脂質の酸化を防ぎます。 また、血圧の低下やLDLコレステロールの減少のほか、動脈硬化や血栓の予防・循環をよくする効果があるので、こむら返りとしての治療薬として模索されています。
- カルシウム拮抗薬
- カルシウム塩
- マルチビタミン
しかし、いずれの薬もこむら返りとして有効であるというエビデンスが乏しい状態であり、日本では漢方薬を使われることがしばしばです。
まだ治療法や予防法は模索中ですが、下記は発症機序や論文から有効性が期待できると考えられています。
① 脱水の改善
寝る時にこむら返りが起こりやすい原因として脱水が考えられています。水分バランスはこむら返りに大きく影響すると考えられているので、普段から水分をよく飲むことが大切です。特に運動後は十分気を付けたほうがよいでしょう。
② ミネラル分の補給
こむら返りで検討されている治療薬からもわかる通り、マグネシウムやカルシウム・カリウムといったミネラルの補給はこむら返りの予防に有効かもしれません。それぞれのミネラルの多い食べ物を上げましたので、参考にしてください
- マグネシウムの多い食べ物: あおさ・わかめ・しらす干し・豆腐・切干大根・五穀米
- カルシウムの多い食べ物: 小松菜・チンゲンサイ・牛乳・ヨーグルト・チーズ・豆腐
- カリウムの多い食べ物:切干大根・ドライトマト・小松菜・バナナ・干しマンゴー・干し柿
カルシウムの多い食べ物については骨粗しょう症(骨粗鬆症)とカルシウムの多い食べ物についても参考にしていただくとよいでしょう。
③ ストレッチをし、十分に体を休める
こむら返りの治療法で、さまざまなストレッチが考案されていますが、以下のようなストレッチが有効とされています。いずれもハムストリングやふくらはぎといった、脚の後ろ側の筋肉を伸ばす運動です。
例えば、ふくらはぎを定期的に伸ばす運動に関しては、以下の通りです。
- 壁に向かって立ち、手が壁に触れるまで腕を伸ばします。
- まっすぐにたち、足が床に平らになっていることを確認します。
- ふくらはぎの筋肉が伸びるのを感じるまで、手を壁に押し付けながら前傾します。2〜3秒間保持します。
- 再びまっすぐ立ちます。
- 1日3回くらいを目安に行い、けいれんの数が減ったら、1日に1~2回に減らしていく。
予防や足がつった時の対処法として活用してみるとよいですね。